ニュース & ブログ
NEWS & BLOG
【日常生活にピラティスを】歩くことを深堀りしてみる
歩くことは単なる移動手段ではなく、全身の筋力やバランス、姿勢の調和が求められる大切な日常動作です。正しいフォームで歩くことで身体への負担を減らし、健康維持やケガ予防にもつながります。ピラティスはその土台を作るエクササイズとして効果的で、筋力や姿勢の意識を高め、より快適で機能的な歩行を実現するサポートとなります。
更新日: 公開日:

![]()
この記事の執筆
SEIKO(明石のピラティスプラス)
兵庫県明石市のピラススタジオの代表トレーナー。フッイトネス業界25年。ピラティストレーナー及びパーソナルトレーナー歴20年。トレーニングセッション実績25,000件以上。
11月も半ばになり、急に寒くなりました。
この記事も書き始めて1か月以上かかってしまい季節のあいさつは書いては消しを繰り返していました。
毎年思うのは 最近、秋って本当に短いですね。
今年は紅葉狩り行けますように!と願っています。
2年間 なかなか行楽にも行けず、人とも会わず過ごしていたのでたまにお出かけするのがものすごいイベントのような気がします。
この季節は食べるものも美味しいですし、安全の配慮をしながら楽しくお出かけしたいですね。
今日は少し遠くのスーパーまで歩いて行ってみました。
スマホの万歩計は8733歩。毎日このくらい歩くといい運動になりそうです。
帰りは荷物があって風も強く なかなか前に進まない、横にあおられるなんてこともありながら充実の買い物タイムとなりました。
いろんな景色を楽しみつつ、運動になるように意識をして歩いています。
お仕事の合間で、日中 時間のある時が自分の運動時間です。
トレーニング、ウォーキング、ピラティスどれもやるなら2時間くらい自由時間が欲しいところ やっぱり難しいです。
本当は自分の運動の時間というのもスケジュールの中に組み込んでしまえるのがよいのですが、まだまだ時間管理が上手くできないでおります。
スタジオに通ってくださっているメンバーさんの方がよっぽど時間のやりくりが上手で尊敬しちゃいます。
1日何歩歩くのが健康にいいのか
ひと昔前、厚生労働省が健康のために「1日1万歩」という指標を打ち出し健康の維持のためには1万歩必要とたくさんの人が知ることとなりました。
ところが最近では「1万歩は実は歩き過ぎ」という説もたくさん出回っていて最適な歩数としては7000歩という説があります。
私の場合、1時間しっかり歩くとだいたい7000歩になります。

では、誰もが一日7000歩歩けば健康に良いのでしょうか?
膝いたや腰痛がある人がウォーキングをすることでそれらの不具合を改善できることも もちろんあると思いますが、歩き方によって身体に負担になってしまうことがあるとしたら健康のためにウォーキングを始めたのに逆に膝が痛くなったり、腰痛になってしまたら健康のための運動ではなくなってしまいます。
そうして 自分に自信を無くして「運動嫌い」となってしまう人を無くしたい!
運動はどんな人にも必要で、やり方次第で誰もが今より快適な体を手に入れることができることを伝えたくてピラティススタジオをはじめたので生活にかかわる身体の動き全てにフィードバックがあっていいと持っています。
なのでスタジオでもピラティスの指導の他にたまにスタジオの外に出て歩き方をみせていただくことがあります。
その方の身体の状態から、きっと普段の歩行の意識を変えるだけでもっと筋力が付きそうとか、歩き方を変えることでもっと身体の状態が良くなる方がたくさんいるからです。
「歩き方」っていろんな人がいろんな方法を発信しています。
歩くことって ほとんど誰でも何も考えなくてもできることです。
寝たままの赤ちゃんが寝返りを打ち、お座りをして、ハイハイをしてつかまり立ち、そして歩くというところまででだいたい1歳くらいです。
1歳で歩き始めてから 今まで何年歩き続けてきたのでしょう。
その間 自分の歩き方に「これでいいのか?」と問題意識を持ったことはあるでしょうか?
右脚 左脚を交互に出せば身体は移動します。「歩くのは脚の仕事」と思っている人は多いと思います。
では上半身はどんな姿勢でもいいのでしょうか?
上半身の筋力がなくても脚が強ければ歩けますか?
また、足部はどうでしょう?
足部とは足首から下の部分のことです。
これらをちょっと深堀して「歩く」動作に落とし込んでみようと思います。
どんなフォームで歩くのか
私は普段 筋トレもしますが、ピラティスの考え方を取り入れたトレーニングをしています。
ピラティスは動きのエクササイズと言われます。
そんなメゾットがあるのか?というと完全オリジナルです。
ピラティスの身体の使い方は日常生活のすべての動きと繋がっています。
私がパーソナルトレーナーをしていたこともあり、その知識と組み合わせて「体を動かす」「効率よく力を発揮する」「パワーをコントロールする」これらを日常動作に落とし込むという考えに行き着きました。
ピラティスの養成で 先生がレッスンの最後に参加者にかける言葉の締めがこのブログのタイトルにもなっている「日常生活にピラティスを」でした。
養成に通っていた時はその深い意味は理解できずにいましたが今になると「なるほど。」と思える大切なワードとなっています。
なので歩くことも同じようにピラティスを日常動作に落とし込むわけです。
歩くことは脚だけでできるわけではありません。
「全身の調和」これが整っている状態がどんな動作にも求められます。
例えば骨盤から上が脚の動きについていけずにいる人
↓

気持ちが先走って上半身が先に前に行っちゃう人
↓

これらは体幹の筋肉と下半身の調和に問題があるかもしれません。
歩くスピードに対して上半身が骨盤の上にしっかり乗った状態を維持するのは体幹の筋力です。
本来、人の姿勢は骨盤の上に頭が乗っていて長い背骨はS字のカーブを描きながら歩く衝撃のクッションとなります。
歩くことによる移動の際にも骨盤の真上に頭がくるようになるのが理想の配置。
「姿勢のいい人」と言われる人のことだと思ってください。
効率の良い身体というのは身体のパーツの配列が理想の位置にあります。
そもそも歩かない状態で骨盤の上に理想的な位置に頭部が乗っていない場合それだけで歩くことは効率が悪くなってしまいます。
スマホっ首や猫背、反り腰や腰が伸びない人、これらの人が「健康のためにウォーキングをする」ことよりも先にしなければいけないことがあるのは理想のフォームを獲得することかもしれません。
そして 上半身の重さを引き上げる筋力を発揮させているのも体幹の筋力です。
体幹の筋力不足で体が重たい人が多いのも事実。
体重の問題ではありません。
体重が多くても 身体が引きあがっている人は自分を重いとは感じません。
身体を引き上げて、お腹を引き上げてという表現も昔はどういう感覚かわからなかったのですがピラティスを続けているうちに身体がその感覚が理解できた気がします。
なので、私のように「お腹を引き上げて」って何?と思う人は絶対いると思います。
私は、ピラティスをして筋力がついてきてから重力に反して身体を持ち上げているような感じになりました。
それで「引き上げる」というのはこういうことか!と感じたのです。
すると、身体は力強く でも軽やかな感じになりました。
疲れていると身体がずっしりと重く感じることはありませんか?
筋力がないということは、自分の身体でさえ重く、負担になるのです。
それでもその人には「身体が重い」自覚がないことも多いです。
筋肉がついてきてはじめて感じる「自分の身体の頼りがい」みたいなもの。
それがあれば歩くのも楽しいと思いませんか?
私が3年前に脛骨を骨折して3か月片脚を浮かせた状態で生活をしてやっと両脚での歩行の許可が下りた時のことは忘れることができません。
立っているだけでも脚がカタカタ震え 歩いていても脚が上がらないのかフラットなところで何度もつまづき、靴が重くて とにかくフラフラするのです。
よくご年配の方が「フラフラします」と病院や健康診断で言っているのを「何がフラフラするのかな?」ととても興味があったのですがそれを身をもって体験できた気がして嬉しいような悲しいような気持になりました。
一気に75歳の身体を手に入れた!と感じました。
元気な75歳の方はフラフラはしないと思いますけど、あくまでそんな感じの身体という意味です。
それまでの私は筋肉は人並み以上にあったので筋力のない人の身体の感覚は ちゃんとは理解できていませんでした。
自分から筋肉が奪われて、筋肉がないことがどんなに大変なことで筋肉がどんなに大切なものか とても理解できた経験です。
筋肉は年を重ねていてもつけることができます。
若い人ほど ドンドンマッチョになるってことはなくてもトレーニングの成果はちゃんとあります。
そして筋肉が衰えるスピードは びっくりするほど早いです。
年を重ねるほど そのスピードは加速します。
「年寄りは3日寝込むと歩けなくなる」などと言われます。
筋肉貯金は少しでも若いうちから始めた方がいいです。
いつまでも理想のフォームで はつらつと歩ける身体でいたいですね。
歩行時の加重
今回は足部(足首から下の部分)についてです。
普段立っているとき 足のどの部分に体重が乗っていますか?
理想の重心位置は内くるぶしの少し前あたりと言われています。
そして歩く時の体重移動は図にすると こんな感じ。

踵の外側から 小指側面を通り 親指に抜けるように地面をとらえるのがスタンダード。
脚を前に出して踵の外側で地面をとらえるその足が身体の後ろになり 蹴り脚(実際には蹴りません)で親指が最後に抜けていく。
ということです。
そこで足の指ですが、本来 歩行時に指で地面を握る 又はひっかくような歩き方というのは足にも脚にも負担になります。
けれど、指の地面をとらえるパワーは歩行時の歩幅や速度と関係します。
指で地面を握ることの影響も 指の力と歩行の関係もどちらも自分自身の経験で実感したことがあるのでご紹介します。
足趾は歩く動作では踏ん張りません
10年以上前のことです。
解剖学の勉強会で足の指はふわっと地面に設置しているのが理想と習った時自分は足が細くて厚みもなく 靴の中で足がブレる不安定さを指で靴底を握って回避していたことに気づきました。
いくらサイズが合っていると思う靴を履いていても指にはいつも力が入った状態で歩いていたことに気づきさっそく指の力を抜いて歩く練習を開始。
すると、夜 足の疲れがいつもよりぐっと楽になっていることに気づきました。
足の指に常に力を入れることで足裏の筋肉にも負担がかかっていたようです。
それ以来、足の指に力を入れずに歩くようにし、私の足と靴との相性探しはかなり入念になりました。
そう考えると、サイズが大きすぎる不安定なサンダルで一日中歩くというのは楽ではないのかもしれませんね。
足が細く薄っぺらな私は大きなサンダルはすごく苦手。
足趾の筋力低下と歩行スキル
そして時は経ち、今から3年前のことです。
右脚脛骨を骨折しました。
全治3か月、その間に脚はやせ衰え筋力はすっかりなくなってしまいました。
全治というのは骨がくっついたということで、元の状態になったのとは全く違います。
今もまだ 左より右脚の方が筋肉が少ないことで、いろんな気づきがあります。
筋肉が少なくなったのはケガをした右脚だけではありません。
入院はしませんでしたが、右脚をつくことができないので外には出ないので左脚も痩せました。いや、全身すごく痩せました。
お尻の筋肉も、足の裏の筋肉も、足趾のちからもなくなりました。
足趾はすごいです!
指の反り返しが無限に曲がってしまって、このままでは指が取れてしまいそうなくらいグラグラでした。
指を支えておく筋肉がないとこんなことになるのか!と恐ろしく感じました。
そんなわけで、当然地面を捉える力もなく腿の裏からお尻にかけて力が伝わらない歩行。
指が無限に反り返ることで 浮指の状態。
足底の横のアーチがつぶれているのもはっきりと感じることができました。
足のサイズも右だけ小さくなりスニーカーが重くて辛い。
足の指なんてどんな役目があるのか 深く考えることがない人が多いと思いますが歩行のパワーと連動していると実感することばかりでした。
3年間自分なりにトレーニングを続けてかなり改善してきましたがまだ左と同じとはいきません。
先日も重たい荷物を両肩に担いで 海に続く川の橋の上を歩いていました。
海風が強く吹き、坂道なので風に飛ばされないように荷物を抱え踏ん張るように歩いていると右の足趾だけ ものすごく力がいることを感じました。
左は踏ん張るちからがあるのでそんなに頑張らなくてもよかったようです。
歩くスピードは若さのバロメーター
10年前スタジオを作る時に地元の人口を考えた時に高齢者がとても多い町だったのでもしかしたら年齢層が高いのかもしれない と思いました。
それまでピラティスやトレーニング エアロビクスなどのお仕事でも60歳以上の方かお客様になってくださる率が非常に高かったのですが「働かせていただいている時とは責任の所在が違う」それまでもトレーナーの保険には加入していましたがバックにスポーツクラブやピラティススタジオがあるのと自分がそのオーナーとでは責任が違うと考え「介護予防運動指導員」の資格を取りました。
その勉強の中で、なるほどと思ったのが高齢者の体力を計測する種目に「歩行スピード」の計測がありました。
しかも高齢の方に「スピードを計りますよ。」というと頑張りすぎてしまうから悟られないように計るんです。
高齢の方あるあるなんですが、根性はある 頑張り屋さん「歩く速さを計ります」言うと 普段どおりの歩行が計れなくなっちゃうみたいです。
認知症が進んでいる方や筋力がない人は やはり歩くのが遅いそうです。
若い人もそうですが、歩くのが遅い人 筋力を鍛えましょう。
筋肉は車のエンジンのようなものです。
大きなエンジンを搭載すればスピードが出るということです。
関西人は歩くのが早いといわれますが、これは筋力があるということなのか?
せっかちだから歩くのが早いという説みたいですね。
関西人にもおっとりした人はたくさんいますけど、、、。
全くの余談です。
フォームとか全身のバランスもとれていてサッサと歩けるのが理想ですね。
慌てて歩くとフォームは崩れがち。
普通にリラックスして歩いても スピードが出るには、筋肉が必要なんです。
ご自分が体調の悪いときに病院まで歩くことを想像してみてください。
サッサと歩くなんて無理だと思いませんか?
私が骨折して3か月後に「もう普通に歩いていいですよ」と言われたとき喜び勇んで 駅のショッピングモールまで歩いてみました。
歩けることの喜びでウキウキしていましたが何度も平らなはずの地面につまづきそうになり 怖い思いをしました。
歩くという行為は 本当に誰にでもできそうなことですが機能的にさっそうと歩けている人はどのくらいいるのでしょう。
歩くという行為は簡単だけど奥が深い。
かっこよく歩ける身体を手に入れたい。
こんな寒い日は歩いてみると滑らかにサッと脚が出ないことがあります。
そんな時はスタジオの空き時間に少しピラティスをしたり トレーニングをします。
それだけでも歩行時の身体の状態が全然違います。
「歩けることはとてもありがたいこと」
自分が骨折したとき、主人の片脚がなくなったとき 実感しました。
健康寿命と人の寿命には約10年の差があるそうで多くの人が約10年は病気やけがで不自由しながら生きることになるという辛いデータがあります。
そうなってから体を鍛えるよりも もう少し若い時から備えた方が自分が年齢を重ねた時のダメージが少なくて済みます。
体力がないならつけましょう。筋力がないならつけましょう。
体力や筋力は自分でつけていくことができるものです。
主人は義足で今歩くことができていますが年老いて筋力がなくなったり 膝いたを起こしたりすれば歩くことはできなくなります。
1本しかない脚にかかる負荷は両脚のある人より大きいですし義足をはめているところの負担も 身体への負担も健常者よりあります。
家族である私も老いていくのですが、主人のサポートができるように鍛えておかなくては!という気持ちはいつもあります。
永遠に今の筋力と体力を維持することはないわけですが筋肉貯金があれば老いのスピードを遅らせることは可能です。
人は老いて行くものですが 今日が1番若い日です。
自分の身体の責任は自分が負うことになります。
歩くことができる生活は とてもありがたいことなんです。

